教師をダメにするカウンセリング依存症―学級の子どもを一番よく知っているのは担任だ!吉田武男・藤田晃之 編著
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サブタイトルが、「学級の子どもを一番よく知っているのは担任だ!」です。すごく刺激的なタイトルなので、思わず購入しました。というのも、昨年10月、青森県五所川原市において開催された、
第39回全日本中学校特別活動研究会・青森大会で記念講演なされた、文部科学省の藤田晃之先生が、編著者のお一人なので、率直にどんなことが書いてあるのか・・・と思ったわけです。
タイトルの割に、カウンセリング批判の内容は、そんなに出てきませんし、「全否定するものではない。」「まして、カウンセラーとして真摯に子どもたちに向き合っている方々への批判を意図するものでは全くない」とあります。
私も、教育相談の講座を受講しましたし、青森のA短期大学で行われている「教育カウンセラー養成講座」も、受講しました。授業では、構成的グループエンカウンターを取り入れることもあります。子どもたちとどう向き合っていくかということを考えれば、いろいろな考え方や、様々な手法(手立て)をこちら側がどれだけ用意しているかということだと思います。カウンセリング万能主義ではなく、それも手法として持ち合わせ、様々な関わり方ができる教師でありたいと考えます。良いものは良いので、どんどん取り入れて実践していきたい。そういう意味で、様々な視点で書かれているこの本は、刺激的です。是非読んでみてください。
対話型の授業づくりでは、カウンセリングの考え方ととっても通じるところがあるなぁと思っています。子どもたちと向き合うためにも、こうして、様々な価値観や、考え方に触れ、私も勉強しなくっちゃ・・・。
まえがき /吉田 武男
カウンセリング依存症からの脱却――プロローグ―― /吉田 武男
Ⅰ カウンセリング万能主義を問い直す
第1章 「心」主義の歴史的文脈――氾濫する「心」の語りをどう見るか―― /平田 諭治
はじめに――なぜ「心」はもてはやされるのか
1 言葉としての「こころ」と文字としての「心」
2 「心」の言説の成立と転回――近世前期
3 「心」の言説の展開と普及――近世後期
4 「心」の言説から「教育」の言説へ――近代化と「学校」
おわりに――「心」主義の現代的構図
第2章 「個人の心」に距離をとる教育――儀礼的であることの効用―― /飯田 浩之
1 「個人の心」を大事にする教育
2 節度なき「個人の心」の教育
3 教育における節度の回復
4 「儀礼」再考――節度回復の一つの方策――
第3章キャリア教育の「柱」と心理主義 /藤田 晃之
1 注目されるキャリア・カウンセリング
2 アクティビスト・ガイダンス理論
3 自分を知りたい生徒たちと職場体験型の学習の推進
Ⅱ 学校を生かす
第4章 学校や教室で起きている問題を「組織」的視点で捉えてみよう /浜田 博文
1 学校は「組織」である
2 「組織の問題」は当事者に自覚されにくい
3 教室内の「問題」の背景に「組織の問題」を読み取る
4 「組織の力」は“開発”可能である
5 授業を「開かれた議論の主題」にする
6“決め手は校長のリーダーシップ”とは限らない
第5章 学校の組織変革と指導改善 /水本 徳明
1 少人数学級で不登校や欠席が減った
2 学校組織の変革
3 学校組織変革をリードする
4 「心の問題」として捉えることをやめよう
第6章 「教師が主役」のシステムをめざして /藤田 晃之
1 超人的な能力が期待される日本の教員
2 キャリア開発支援スタッフの配置と役割
3 アメリカの学校における「補助教員
4 コストパフォーマンスの高さとその背景
第7章地域に根づく福祉教育実践――サービス・ラーニングの活用―― /唐木 清志
1 福祉教育の問題点
2 実践の概要
3 サービス・ラーニングとは何か
4 「研究するぞ! オムニバス」に見られるサービス・ラーニングの視点
5 福祉教育を「心の教育」に終わらせないために
第8章大学生による教育実習外のボランティア活動を,教職員はどう見たのか /根津 朋実
はじめに
1 誰に読んでもらいたいのか
2 「教育実習でもないのに大学生が学校にいる」こと
3 「教育実習外ボランティア」活動の概要
4 座談会の記録に見られる「大学生へのまなざし」
おわりに
Ⅲ 「学びの共同体」を創る
第9章 「最底辺国としての日本」から見えてくるもの /藤田 晃之
1 「学力低下の動かぬ証拠」の再検討
2 「学力低下」はどれほど真実か?
3 私たちが見落としてきた真の問題
第10章 「つながり」を生かす実践 /吉田 武男
1 「つながり」を断ち切る学校の心理主義の風潮
2 スクールソーシャルワークの導入
3 NIE教育の推進
4 学級づくりの再構築
第11章「ソーシャルコミュニケーション力」を育む「学びの共同体」 /吉田 武男
1 専門家への過剰期待と破壊
2 カウンセリング依存症からの脱却のための提案
3 「ソーシャルコミュニケーション力」を育む「学びの共同体」
カウンセリングだけに依存しない教育改革を――エピローグ―― /藤田 晃之
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